


















ワディ・ダハールでなんともありがたい
予想外の出来事。イエメン人のお宅訪問。
ステキな時間に、優しい人たちに感謝!です。
2. おうち訪問
1. 美しきロック・パレス
マイクはご夫婦の旦那様であるハーシムと、私は奥様のファトマと並んで、ロックパレスを後に、来たのとは反対の道を歩いていた。言葉の壁で特に何を話すということはないのだけど、何度となく目を合わせて、先にある道を進んでいた。
すぐだと聞いていた家だった。でもたいてい旅行先で聞く「すぐ」は遠い。近かったためしがない。今回も然りです。もうしばらく歩いている。私のすぐはとうに過ぎていた。
枯れているくらいの細い川に差し掛かった。いびつな土の道をさっきから歩いている。川というのは普通人にとって、ましてこの暑い気候の国では憩いと安らぎの存在のように思えていた。でも、この川(と呼ぶにはあまりに細い水の筋)にはビックリするほどのごみと少し悪臭が漂っていた。水の端はいつからあるのかわからないまでに泥かカビかもに沈むごみとぜーーったいに触りたくない固まり始めた液体。
当然のことながらイエメンのいたるところで見るビニール袋のごみはたっぷりだ。みんなが間違いなく気分よく通るわけではないこの川。その原因のごみに対して何も思わないのだろうか。この川の前に暮らす方たちは掃除をしようとは思わないんだなぁ。不思議だった。
歩いているうちにマイクとハーシムは大分と先まで行ってしまっていた。どこの国でもありがちな構図だ。思わず笑える。歩くのは私よりもファトマのほうが遅かった。でも彼女は気にするでもなく普通に歩く。
イスラムは女性を軽視しているといわれがちだけど、こういうところをはじめ男性は女性をちゃんと受け入れ、それを自然としている辺りが、「軽視」という言葉の間違いを感じる。
この状況だと、気を利かせようとする日本人女性だったら、相手に合わせて急ぎ足で歩くのだろうか。なんて考えると勝手に日本人男性のほうが「女性」に気を使わせているわよね〜なんてちょっと思う。
私はファトマと手をつないで歩いていたけれど、ファトマはヒールの靴を履いていたので歩くのが遅い。それだけじゃなくてとても華奢ですごく女性らしい身のこなしなのだ。
私たちが教育を受けて女性としてのマナーとは少し違う、でもとても女性らしいのだ。女性を強く意識した文化だからなのだろうか。
20分くらい歩いた頃に、村(か町)と思しき場所に出た。家々が並ぶ。川の脇にある家に女性の姿があり、外からハーシムとファトマが順に何かを話して過ぎていった。彼女はファトマかハーシムのお母さんらしい。
さらに歩くこと5分ほどで村の中心を走る通りを歩いていた。観光地ロック・パレスではたくさんの外国人を見るけれど、そこから少し来るだけで、外国人の姿は全くない。私たちだけだ。この全くの観光地ズレしてない空気にドキドキワクワクして進む。
合計30分以上歩いたところで整った2階建ての建物の裏へと回りこんだ。この2階が目的地だった。ここはファトマのお父さんの家。若い夫婦はしょっちゅう出入りしているようだ。
1階と2階にそれぞれ2世帯ずつ暮らしているようで、ご近所さんがマイクと私−外国人−を珍しげに見ていた。
玄関兼台所から中へ入ると中は広い一部屋で、奥にたくさんの机といすが会った。元は学校のようだ。それを奥につめてこちらでお父様は暮らしているらしい。
最初にお邪魔して、ドキドキしながら座らせていただく。おうちにはお父さんの他にすぐに来たファトマの妹のハディジャもいた。ハーシムにファトマにハディジャがいろいろと家にあるものを見せてくれる。そしてチャイを入れてくれたり、ジュースを出してくれる。3人とも嬉しそうになかなか通じないながらも私とマイクに話しかけてくれる。すごく無垢できれいな人たちだと思った。
マイクは午後にサナアを経つ予定もあったし、私はここから近隣のシバームとカウカバンに行く予定だったので、ほんの1〜2時間くらいのお邪魔のつもりだったのが、この人たちの人の良さと居心地のよさで、結局私たちは昼頃から夕方近くまでこのおうちに居座る客となる。
時間が長かった中にはお食事までご馳走になる。マイクとハーシムがテレビを見たりして話している間に私はファトマとハディジャにイエメン料理を教えてもらいながら、3人で写真の撮影会をこっそり行っていた。
イエメン男性は自分の奥さんなど身内の女性がほかの人の写真に納まるのは嬉しくないようで、他の場所でも兄弟を取ろうとしたらお兄さんが妹はダメと言って自分だけ映ったこともあった。大事な奥さんや女性を人の目に触れるものにおさめたくないんだろう。
ファトマもハディジャもそれをわかって、決してお父さんとハーシムの前ではカメラの前には立たない。でもそれは若い女の子。好奇心を抑えられるはずがない。初めて見るデジカメに目を輝かせて、家の中の男性たちの様子を何度も伺いながら、台所のある玄関を出て男性陣の死角になる場所で、何度も撮影が行われた。ごめんよハーシム、お父さん。
二人は料理を作りながら、少しすると写真、といった具合にすごくかわいらしい女の子のノリで次々に写真を撮る。最初は緊張して写っていたのが次第にちょっとポーズを撮り、それを隣に映る私にも強要し、写るだけじゃなく、撮ることもそれは楽しそうにしていた。
ファトマはまだ18歳だけど既婚者なので、人前では真っ黒な目だけの出る装いだ。未婚のハディジャは同じく目だけを出す装いながらももう少し自由な感じの服装。ハディジャも13歳というのにちゃんと家族以外の男性の前では目以外の部分を隠す。
イエメンでは結婚は15、16歳というのは当たり前で、ハディジャも来年には旦那様になるだろう人の紹介を受けるようだ。
さて、撮影会は最初は二人とも同じ女性の私に、顔は出してもカメラの前では目以外の場所は覆っていた。でも次第にデジカメで撮った画像を確認して興奮も高まり、顔を出しての撮影もする。もちろんハーシムとお父様への警戒を怠らず。
私も一緒に撮った写真の出来を見てみると、かなり凹む。二人の頭、小さすぎです!身長は小柄な155cm程度なのだけど、二人ともモデル体形なんだもの!隣に写って切ない。
二人は、下にもカメラを持って行っていいかと聞く。これもカメラを持っていくのはハーシムには内緒。私も一緒に軽い足取りで下の階へと行くと、仲良さそうに台所に若いご夫婦がいた。女性は人が来た気配にあわてて顔を隠す。こちらの旦那様は最初は写真に抵抗を持ったようだけど、ファトマの持つカメラにすぐに夫婦二人で写ることを承諾した。でも、奥様の方が恥ずかしがって終始顔を伏せたまま。ファトマとハディジャはそうか〜好奇心が高いのね。女性でも写りたがらない人も結構いる。
ファトマとハディジャが写した
ハーシム写真集 のできのいいもの一部
くつろぐマイク。
ハーシムと。
最初は少し怖いかと思っていたお父さんもお昼を一緒に食べる頃には口数が少ないだけのいい人なのだと良く伝わってきた。
そんなお父さんが少し外出の様子。どこへ行くのかと聞くとサナアという。なんとわざわざバス代を払ってイエメン人の嗜好ガートを買いに行くそうだ。
お父さんとはお別れかと思ったけれど、マイクも私もつい楽しくて結局お父さんが帰ってきてもまだいた。
お父さんがガートを買いに行くときにハーシムも自分の分を頼んだようで、婿と舅はそれは仲良くガートの取り合いをする。お父さんはハーシムに予定以上に取られたところさらに娘ファトマにまで隙を突かれてとられて、少しだけ寂しそう。でもイエメン家庭の午後のガート休息時間、少し面白かった。お父さんはガートをひとしきり楽しむとまた出かけた。
仲良くなるにつれファトマとハディジャも次第にマイクに対してもなんと!顔を出すようになった。これはマイクも私もオドロキで、きっと外国人で、かつ仲良くなったからその行為をハーシムも許してくれたのだろうと思った。
私自身もこんなにちゃんとイエメン女性の顔を拝見できるなんて嬉しかったけど、マイクに至ってはなおのこと、見るはずのない女性の姿に、気を許してくれた様子に嬉しそうだった。
顔も気になっていたけれど、髪の毛も実は私は気になっていた。長さがどれくらいあるのかどんな髪なのか。その質問に長さを手で示して、スカーフの隙間から髪を見せてくれた二人だけど、ファトマはトイレ(兼浴室)に入ったときこっそり私を呼んでスカーフを取った姿を見せてくれた。そして「写真に撮って」という。
撮った写真を見せるととても満足げだ。この写真を送っていいかと聞くと、やはり撮ったこと自体がまずいようで、彼女は自分の姿をカメラの画像で楽しんだだけで十分のようだ。
イエメン女性はなんとも(日本人の言う)エキゾチックで美しい。ファトマはまだ少し幼さの残る女性だった。そうだよね、まだ18だものね。それでも、彼女は悲しいけれど、生まれるはずだったお子さんを一人なくすという大きな経験もしている。かわいらしさの中にすごくしっかりした面を見る。
一方ハディジャは、すごくはっきりてきぱきした子でハーシムやお父さんにもしっかりと意見を言う子だった。写真を撮ることでハーシムの許可を得たりがあるけれど、彼女の態度はハーシムにも対等に口を利き、しっかりして感心した。
家は2階。写真に写るのは1階のご主人。
おうちの中におじゃまです。
シュクランガジーラン 楽しい時間をありがとう
お父さん
最初は無骨な感じだったけど
優しかったよ。
ファトマ
顔を出したものもあるけれど、
改めてハーシムの前で取ろうとすると
恥ずかしそうに顔を隠した。
ハディジャ
ハディジャはまだ未婚なので
写真載せちゃいます。
お姉ちゃんより好奇心旺盛なの
ファトマとハディジャは特別な日に着る服を出して今着ている服の上から私にも着せてくれた。でもさ、二人は細すぎるんだもの!(私はかなりふくよか系ですが・・(-
-))きつくて,、ファスナーがあがりませんでした。
ファトマにハディジャもそれを着てみるとハーシムもいとおしそうにその様子を見ていた。
「ハーシム、奥さん、きれい」と、単語を並べて伝えると、嬉しそうに答えた。
「うん。キレイだろ。」
女の子二人はハーシムの前で思い切った行動に出た。写真に写りたそうにした。私も私で撮影してもいいかと仕草でたずねる。最初はハーシムはダメと言っていたけれど、ハーシムの手にカメラを持たせてシャッターを押させた。ハーシムは苦笑しながら、諦めた様子で撮っていいよと言ってくれた。
でもいざハーシムの前で撮ろうとしたときに照れて顔を隠してしまったファトマがかわいかった。
未婚のハーシムのものではないハディジャはさらに大胆にファトマのアドバイスのもと窓際でいすに座ってはいポーズ。
隠れて撮っていて少し罪悪感のあった私は、ほっとしました。
予定をかなりのかなりオーバーしてすっかり長居した私たち。今日の予定を変更し、ここからサナアに帰ることにします。帰り道は来る途中で見た場所。それをわかっていながらも、ハーシムはサナアへのタクシー乗り場まで送ってくれるという。少しだけファトマとハディジャも一緒に送りたそうな仕草を見せていたけれどハーシムに言われて諦めてここでお別れになった。とても楽しい時間をありがとう。
もし、また会うことができるならば・・ファトマにも、間もなく結婚するであろうハディジャにもかわいい子供がいるに違いない。どんな女性になっているだろうか。若い二人はまだまだ変化があるだろう。
家を出て道路側の窓際に出ると窓の隙間からこっそり見送ってくれている姿が見えた。
家を出て約5分ほど歩いた場所に人が少し多くいる場所があった。どうやらそこがいろんな方面へのダッバーブ乗り場らしい。ハーシムがそこにいた人に尋ねてから私たちに言った。どうやらサナア行きのダッバーブはすでに出た後でロック・パレスにある乗り場まで歩こう、ということになった。ここから20分強の道のりだ。
ここからロック・パレスは少し遠いなぁと、思ったけど、しょうがない。
さっきは近道だったのだろう、これほど住居のある町(村?)の中心を歩かなかった。今歩いてみると思っていたよりも多くの建物が並んでいた。もちろん物珍しいマイクと私の外国人旅行者の姿は少しだけ好奇の目にさらされたけど、さほど不快なものではなかった。
観光地の近くにありながら、この小さな町並みを見れて嬉しかった。高層建築の多いイエメン建築だけれど、この町の建物は3・4階建てのものも多くて大きな景色の元なおさらに空が大きく感じた。
私にとってはようやく、着いたと思ったロック・パレス.。観光客としてみるのとは逆側からその姿を見て改めてその大きさに感動。
でも、ハーシムに連れられてぐるりと回ってダッバーブ乗り場へ行くとここでもすでにダッバーブは出たばかりだった。時間をかけて歩いてきたけれど、さらにここでしばらく待つのかな。
そう思った矢先にハーシムが決断を下して、私たちはまたもう一度ハーシムの町へ戻ることになった。ハーシムの町からの方がサナアへ行くダッバーブの頻度が多いと言う。私たちは今日2度目のハーシムの町へと向かっていた。
ロック・パレスのすぐ近くで。
こんなところでもガート栽培
ハーシムの暮らす町
長い散歩を終えてようやく着いたダッバーブ乗り場にはすでに少しの人が次のダッバーブを待っていた。私たちも同じように待つかと思うと今度こそ3度目の正直ですぐにダッバーブを捕まえることができた。
ハーシムとお別れかと思うとハーシムも同じダッバーブに乗り込んだ。さっきのおうちはお義父さんの家だと言ってたので、今度は自分の家に帰るという。ファトマは先に帰っているそうだ。他にも家がまだあると言っていた。そしてありがたくも次回には自分たちの家へ、そしてもう一つの景色のきれいな家へ来るようにと温かい言葉をかけてくれた。
ハーシムは同じダッバーブでどこかへ行くようだったけど、どうやら必要な場所よりもしばらく、私たちにとってわかりやすい場所に車での間わざわざ乗っていてくれたようだ。大通りに出たところでハーシムはダッバーブを止めて降りた。今度こそほんとにお別れだ。
数時間を一緒に過ごしただけだけど、十分にハーシムの人の良さは伝わってきて、本当に旅の中でのあたたかな出会いと時間に感謝した。
ハーシムは、ドライバーにお金を払った。そして私たちに何かを告げる。ハーシムはマイクと私の分までもダッバーブの料金を払っていてくれたのだ。
そして彼は私たちに別れを告げ、ダッバーブが来た道をその足で戻っていった。本当に優しく純粋な人だった。ありがとう。
岩壁の谷間にあるハーシムの町。
私の前を歩くマイクとハーシム。
サナアに向かったダッバーブは市街地のはずれに到着した。ここからダッバーブを乗り継ぐのは簡単だったけど、マイクと二人ホテルまで歩くことにした。
同じダッバーブに乗り合わせていた子供たちも同じ目的地だった。子供達はそれを聞いて嬉しそうに道を教えてくれた。少し寄り道した子供たちを抜かしてマイクと私はサナアの観光地とは違う景色を楽しみながら歩いた。後ろの方で子供たちが私たちに置いていかれまいとがんばって同じ速さでついてこようとしている様子が伺えた。
目的地の近くで子供たちとは別の道を行き手を振って別れた。
約1時間強歩き、サナアの数回見た景色の中にいた。
マイクも私も、当初の予定は狂っていた。
サナア旧市街はどこを歩いても独特な街の景色を十分に楽しめる。今日の残りはサナアの街歩きになった。