
嗜好品 ガート







コーヒーを表す言葉の一つに「モカ」がある。これはイエメンの港町の名前だ。多くのコーヒーがこのモカから荷だしされていた。イエメンのコーヒーはその質の高さで有名でそのため「モカ」の名前も世界に広がった。
しかし、最近ではこのコーヒー畑の広がっていたイエメンの景色は様変わりしているという。それがイエメン人の嗜好品ガート(一般的に「カート」ですが、私の耳には「ガート」と聞こえてきたのでガートと書く。アラビア語独特ののどをすぼめた音で発音するようだ)の人気に伴ってコーヒー畑や色々な畑がガート畑へと姿を変えているという。人気の高い値入のいいガートは現金収入としても魅力のようだ。
イエメンを旅してこのガートを見ないことはない。スークを歩けば幅を利かせたガートスークに出くわすし、少し道を歩けばガートで頬を膨らました男性とすれ違い、田舎へ行けばガートの畑を目にするのだ。
ガートとは覚醒作用のある葉っぱで、太い茎の部分を残して葉の部分を口に含み噛み砕いたものを頬にためておくことで30分が過ぎる頃くらいから木の葉からにじみ出る成分によって気分が高揚するらしい。目が冴え、陽気になり、一種の興奮作用があるというのだから、合法のドラックのようなものだ。
実際私も食べてみたけれど、ただ苦くてホントに青臭い葉っぱを口に入れているだけの感覚でほんのわずかな量を30分口にためるだけで精一杯だった。それでも、少しだから当然だろうけど、頭が冴えるようなすっきりした感覚はなく、口に渋さが残っただけの思い出のガートタイム。
そもそもガートはアフリカが発祥といわれており、今でもイエメンだけではなく周辺のアフリカ諸国でもあるものらしい。これほどまでに愛されているのはイエメンだけのようだが。これほどまでに出回る以前、ガートはお金持ちの特別な楽しみだったらしい。
美しいイエメンの高層建築の最上階にはマフラージと呼ばれる特別な部屋がある。それこそ男性たちがガートを楽しむためのガートルームだ。部屋の壁に沿って座るための布団のようなものが敷かれ、その上には肘置きのクッションが並んでいる。男たちはここで午後のひと時のガートタイムを楽しんでいたという。
今となってはガートはどこでも楽しまれているものだけれども、多くは体を半分横たえて肩肘を突いてのんびりと楽しんでいる姿をよく見かける。見かける、というのは、スークでも働いているはずの人や開いているお店の奥でさえこの姿が見えるのだ。このあまりにやる気のないようなだらけた姿と雰囲気が私にはどうも排他的に感じてならない。。
ガートを楽しむ姿を私たちが街を歩いて見るのは当然男性の姿なのだけど、このガートは家で女性たちにも愛されている。実際に訪れた家ではわざわざお父さんがバスにまで乗って買ってきたガートを娘が横からかっさらって嬉しそうに食べている姿を目にした。う〜ん。父もだんなも奥さんもぼーっと体を半分横たえてガートを楽しむ。むしゃむしゃ
イエメン男性の楽しみはこのガート。ガートにもやはり○○産というのがあるようで朝摘みのやわらかい葉が好まれているようです。少しでも多く、いいガートを買うために働いている人、楽しみは全てガートにささげる人がきっとたくさんいるのでしょう。ガートのために働き、ガートにお金を使う。なんだか経済発展の負のスパイラルのように思えるのですが・・。
ガート、イエメンを語る一つのキーワードです。
スークでは大の男がそれは真剣に嬉しそうに
ガートを吟味、交渉する姿がいたるところに。
仕事中のはず@スーク
屋外でもどこでもガートのお店は大繁盛。
スークを楽しむための最上階の部屋、マフラージ
ビニールを覗くと青々としたガート
もちろん乗り合いタクシーでも。
大きな幹線道路脇にははたまにビニールを下げた
ガート売りが立っています。
欲しい乗客が乗り合いタクシーを止める。
そしてマジ吟味。おい
そっけないガート畑