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1. 出会い フェズの家族と友達

2. フェズ町歩きT
3. スークを歩く・スークで迷う
4. 陶器地区Potiers Quartier
5. アンダルース・ミュージック
6. フェズ町歩きU

思いもよらず、この憧れていた街での出会いがあった。
伝統を大切にする、温かい家族だった。
イスラムの教えどおりに旅人・客人として温かな時間をもらった。
想像以上に寒いフェズだったけど、私までが家族のような
そんな時間をもらった。

共感できる友人との語らいの時間。
西の果ての国で不思議な時間。

早朝のフェズの旧市街フェズ・エル・バリ
泊まったホテル、ペンション・タラアの窓から

家で私にバイオリンを
奏でるモハンメッド

街の中心ルシーフ広場から
メディナへのゲート

メディナの中で。私をホテルに送る
モハンメッドとアブデルマレック

一緒にいた彼の名前はモハンメッドといった。
童顔な感じだけれど、なんとなくふけて感じた。彼は私よりひとつ年下。でもすでに奥様がいらっしゃって、今日はおうちに奥様をひとり残しての実家帰り。今日は出先のラバトから。小学校の音楽の先生である彼は、このフェズに毎週のように帰り、あるクラスで音楽を教えているらしい。

駅についた時間が9時も近い時間だったので、私はホテルへタクシーを使う予定だった。彼にどう行くのかを聞かれて、その旨を伝えると
「タクシーは高いよ。バスで行こう」
予定していたホテルへ道筋を心配したけれど、バスターミナルから遠くないという彼の言葉を信じてバスに乗り込む。現地の人が使うバス。降りる場所に心配ないなら乗りたかったんだ。

バスを待つ間、この旅が少し心配になっていた。
だってだって、昼と夜の気温差はわかっていたつもりだった。でも、このフェズで迎えた最初の夜、あまりに寒いんだもーーん!私は寒さが大キライーー!

バスは彼の目的地である二つに分かれた旧市街の中心側
フェズ・エル・バリルシーフ広場に着いた。
行き方を聞こうとすると
「家に荷物置いてきていいかな?送るよ」
迷うことなくうなずいて彼の後を追う。
彼の家はルシーフのすぐ脇の道を入ったところにあった。しかし、そこで早速、古き迷路の街を実感する。広場のすぐの場所だけれど、その人が二人すれ違える道には明かりがひとつもない。正面の行き止まりにかろうじて「薄」明かりがあるだけ。薄明かりの手前を曲がる。さらに道は細い。二人が端によってすれ違える程度。全く見えないのだが彼の方から、トントンとドアをノックする音が響いた。なんと真っ暗な中にドアが左右に3つもあった。この一つが彼の家だった。
玄関先で少し待つと中から彼が呼んでくれた。夜も8時半、お邪魔しちゃっていいのかしらなんて思ったものの、彼の好意が嬉しかったし、モロッコの家庭をのぞいてみたかった。

玄関からの廊下をすすむと奥まった場所に大きなサロン、居間が広がった。私の身長程の高さまでは壁がすべてかわいらしいタイルに覆われ上へと真っ白いタイルが伸びる。
その居間だけじゃなくすぐ脇の部屋も壁一面に横長のソファーベッドが並んでいた。上には同じデザインできれいな刺繍のカバーがついたクッションを乗せている。
上を見上げると吹き抜けのようになっていて、何かで覆われている。この居間自体が中庭のような存在だった。
後で案内された2階の部屋はドアがかろうじてあるものの開けっ放しでさらに家全体の開放感が増していた。もちろん吹き抜けなので部屋の前からは1階の居間で過ごすお母さんやおばあさんの姿が見下ろせる。1階といってもかなり高さがあるので天井のある部屋も圧迫感はなかった。
3階には部屋の他に屋上もあって、他の家よりやや高めの作りから、フェズ・エル・バリの街を見ることができた。
しかし、夏は開けるのであろう、屋上の覆い。隙間風が入るのか、タイルの壁のせいか、部屋の中にもかかわらず、寒かった。
モロッコの夏が暑いというのは行く前に読んだので知っていたけれど、決して夏が長いわけではない。それが、家は夏使用。
何でか聞いてみたけれど、もらった答えは笑顔と「なんでだろうね〜」一緒に笑った。

お邪魔してすぐに次から次へと家族が帰ってきた。彼の兄弟たち。彼は6人兄弟の長男だった。紅は1点。10歳の間に6人兄弟。みんなが勢ぞろいして、つたない英語で私にいろんなことを話してくれる。
みんなが自分を押し出すわけではなく、なんとも心地いい家族なんだ。
中でもとりわけ仲良くなったのは英語が話せる、一番女の子慣れした?4男の
アブデルマレックだった。
しばらくすると私の分も含めた夜ご飯が出てきた。
大きななべのような陶器の中にトマト色のスープで煮込まれた短いパスタ。もう1品はお菓子を意味する「ヘルワ」。
「お父さんが作ったんだよ〜」
えええ?そうなのか、やはり国にも家庭にもよるけど、イスラムの男性は優しいのかな〜なんて思っておいしい温かい料理をいただいた。
あっという間に時は過ぎ、11時近くになっていた。
「私、そろそろ・・」
「泊まって行きなよ!」
おおお!なんと嬉しく温かいお言葉なの〜。すごく嬉しかった。泊まりたくもあった、のだけど・・・。私はシャワーが浴びたかった。
日本出発の日仕事でちょっと汗をかき、さらに重いリュックを背負っての関空までの道のりの中さらに汗をかいていた。
「いえ、とても嬉しいのですけど、申し訳ないのと、一応ホテルを決めているので・・」
残念がってくれながらも優しく微笑んでくれていた。

おうちを後にし、モハンメッド(以下お兄ちゃん、長男であるために私の中ではいつもお兄ちゃんと呼んでいた)とアブデルマレックが私を宿泊予定のホテルまで送ってくれた。あまりに入り組んだ細く暗い道をすたすたすたーーーっと歩いていく。
これが、フェズの旧市街か〜。
予定していたペンションへ到着し空室確認をすると彼らはまたすたすたすたーーっと去っていった。
「じゃあ、メリ。明日の朝ね」
明日の朝私は彼らの家へ行く約束をしていた。彼らが毎週している音楽の練習を聞くためだ。
しかし、やはり外国人の「遠くないよ」「近いよ」という言葉は当てにならない!!!だって二人のおうちからここやや早足で15分〜20分かかってたよ!



ホテルフェズ・エル・バリの中でと決めていた。しかしこのメディア内は高級なものが多く私の予算外。「歩き方〜」でここにしようと決めた宿が空いていて何よりだった。
しかし、残念だったのは二つ。いや3つだ。シングルが空いておらず、私はダブルの部屋単純に料金が倍になってしまった。予算内だが予定外だったこと。そしてここへ来るに当たっての道で深夜に工事をしていた。昼の人通りではムリなのだろう。それはすぐこのホテルのはす向かい。旧市街の静かな狭い路地では工事の音がなんと響くことか。
時間的に私には他を選ぶ余裕はなかった。しかしこのホテルなにぶん立地がいい。

一息ついてすぐにシャワーの準備をして部屋を出ると、このホテルの管理をしているというかっこいいお兄さんと立ち話になった。彼は
H(実は彼の名前が難しくて覚えることができていなかった。けっこうお話もしたし、一緒にご飯もいただいたのだけど、いつも呼びかける必要がなくて最後の別れ際に名前を聞いて、あきれ笑いされたくらいだ。お恥ずかしながらこんなことがちょこちょこある私のたび。)フェズの町のこと・モロッコのことで話をしていたのだけど、私はシャワーを浴びる準備の服装で体が凍え始めてしまった。
「と、とにかくシャワーー浴びてくるね」
部屋の前の廊下に面したシャワールームへ入った。
残念だった点はここで訪れる。本の投稿にはこのホテルの良さとして温水シャワーと書いてあったのに、あったのに、確かに水じゃなかったけど、冷え切った体を温めるには、つらかったのですーーー。
家族の宿泊の誘いを断って選んだシャワーー、寒くて涙と鼻水が出そうだった。

かろうじてシャワーを終えて見るとそこにはまだHがいた。
また話が弾み、私はHの座るいすの横に腰を下ろし、彼との会話と彼が取り出してくれた写真に目を向けた。
「やっぱりモロッコに来たら砂漠に行かなきゃ!」
そんな言葉をなんとなく聞いていたのだけど、それがやけに私に残っていた。理由はきっと彼が見せてくれた砂漠の写真の美しさにあったからだと思う。
次第に話は世界共通、恋の話へ〜☆
彼が私に親しく話してくれたのにはささやかながら理由があったのだ。彼の恋人の日本人と私は同じ苗字だった。
そして私の恋人はトルコ人。
付け加えて同じような年の差のお付き合い。
彼はつい1ヶ月ほど前までしばらく滞在していたという彼女が大好きで結婚を考えているとのことだった。嬉しそうに言う。
「僕は彼女が大好きでしょうがないんだけど、どんなにがんばっても彼女が僕を好きな気持ちに勝てないんだ」
「あー私も〜!私の場合は勝ってる側だわ」←後日私の彼に聞くとちょっと納得いかない面持ちだった。
話が盛り上がる。
私はアフリカ大陸にいるはずだ。でも、普通に友達と話が盛り上がっているような時間。
なんとも嬉しい感覚。
「明日もいる?」
私が聞くと彼はうなづいたので、もう寝ることにした。
私の体はまさに芯から冷え切っていたから。つい楽しくて、寒さを我慢してぬれた髪のままに夜遅くまで話にふけってしまった。
「おやすみなさい」


興奮のためか目が覚めまくる。
眠気が訪れないのは他にも外の工事の騒音とあまりに冷え切った体という理由でもあった。
温まろうとベッドの中で丸くなり、時に足をすり合わせるけれど、効果はなかった。
久しぶりのあまりの寒い夜だったけど、それも笑って話せる帰国後。ステキな出会いがあったから、気持ちは温かかった。そして何よりそれも旅の思い出だからだろう。

部屋に差し込んでいたホテルの明かり
アラビア語がかわいらしい

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